うつ病の診断

うつ病の診断において、国内および海外の専門医の多くが使用している尺度に、DSM-IV (米国精神医学会の診断マニュアル)というものがあります。
このDSM-IVでは、以下の9項目のうち5つ以上が、2週間以上続く場合に、「うつ病」と診断します。

[1]抑うつ気分

うつ病になると、「憂うつだ」「悲しい」「何の希望もない」「落ち込んでいる」と悩むことがよくあります。人によってはこうした気持ちを表現しない人もいますが、今にも泣き出しそうな印象や憔悴しきった雰囲気から周りの人が気づく場合もあります。また、こうした症状は午前中にひどく、午後から夕方にかけて改善してくることが少なくありません。

[2]興味、喜びの著しい減退

うつ病になると、程度の差はあるものの、これまで楽しんできた趣味や活動にあまり興味を持てなくなります。何をやってもおもしろくなく、自分の世界に閉じこもるようになります。また、性的な関心や欲求も著しく低下してきます。

[3]食欲・体重の減退または増加

うつ病では一般に食欲が低下してきます。そのため体重が減少することが多くあります。食欲がなくなった患者さんは「食べなくてはいけないと思うから、無理に押し込んでいる」と訴えることがよくあります。またまれに、食欲や体重が異常に増えるケースもあります。

[4]不眠または睡眠過多

うつ病では不眠がよく現われます。寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めて寝付けなくなるなどの症状を訴えます。特に朝早く目が覚める「早朝覚醒」はうつ病に特徴的な症状です。またまれに、異常に睡眠が増える場合もあります。

[5]精神運動性の障害

うつ病になると、ほかの人から見てもすぐわかるほど身体の動きが遅くなったり、口数が少なくなったり、声が小さくなったりしますが、それが極端になると、ほとんど寝たきりのような状態になります。また逆に、じっと座っていられないほど焦燥感が強くなったり、イライラして落ちつきなく身体を動かすこともあります。

[6]易疲労性、または気力の減退

ほとんど身体をうごかしていないのに、ひどく疲れたり、身体が重く感じられるのもうつ病の症状の一つです。本人は一生懸命やっているのに、着替えなどの日常的なことにさえ、非常に時間がかかる場合もあります。

[7]無価値観、罪責感

他人から見てほとんど根拠がないのに自分を責めたり、過去の些細な出来事を思い出して悩むのもうつ病の特徴的な症状で、1つのことをくよくよ考え込んだりするようになります。

[8]思考力や集中力の減退

注意が散漫になって、集中力が低下します。決断力も低下して、たいしたことでもないのに、あれこれ悩んで何も決められない場合もあります。

[9]死についての反復思考、自殺念慮、自殺企図

うつ病が重くなると、気持ちが沈んで辛くてたまらなくなり、死んだほうがましだと考えるようになります。死への思いが頭から離れず、実際に自殺を試みることもあります。